1998年の野球において、メジャーリーグベースボール(MLB)優勝決定戦の第94回ワールドシリーズ(英語: 94th World Series)は、10月17日から21日にかけて計4試合が開催された。その結果、ニューヨーク・ヤンキース(アメリカンリーグ)がサンディエゴ・パドレス(ナショナルリーグ)を4勝0敗で下し、2年ぶり24回目の優勝を果たした。
両チームの対戦はシリーズ史上初めてであり、1997年から始まったレギュラーシーズン中のインターリーグでもまだ組まれたことがなかった[3]。レギュラーシーズンで全球団最高勝率を記録した球団がシリーズを制するのは、1989年のオークランド・アスレチックス以来9年ぶりである[4]。ヤンキースの優勝回数は北米4大プロスポーツリーグ史上、アイスホッケー・NHLのモントリオール・カナディアンズを抜き、単独最多となった[注 1][5]。シリーズMVPには、第3戦の8回表に逆転・決勝の3点本塁打を放つなど、4試合で打率.471・2本塁打・6打点・OPS 1.294という成績を残したヤンキースのスコット・ブロシアスが選出された。またヤンキースでは、投手の伊良部秀輝が日本人選手として史上初めてワールドシリーズのロースターに入ったが、登板機会はないまま終わった[6]。
パドレスの本拠地球場クアルコム・スタジアムでは、野球だけでなくアメリカンフットボールも行われていた。この年の1月には、NFLの第32回スーパーボウルが開催されている。同じ年にスーパーボウルとワールドシリーズの両方で開催地となった競技場は、クアルコム・スタジアムが初めてである[7]。
試合結果
1998年のワールドシリーズは10月17日に開幕し、途中に移動日を挟んで5日間で4試合が行われた。日程・結果は以下の通り。
日付 | 試合 | ビジター球団(先攻) | スコア | ホーム球団(後攻) | 開催球場 |
10月17日(土) | 第1戦 | サンディエゴ・パドレス | 6-9 | ニューヨーク・ヤンキース | ヤンキー・スタジアム | |
10月18日(日) | 第2戦 | サンディエゴ・パドレス | 3-9 | ニューヨーク・ヤンキース |
10月19日(月) | | 移動日 | |
10月20日(火) | 第3戦 | ニューヨーク・ヤンキース | 5-4 | サンディエゴ・パドレス | クアルコム・スタジアム |
10月21日(水) | 第4戦 | ニューヨーク・ヤンキース | 3-0 | サンディエゴ・パドレス |
優勝:ニューヨーク・ヤンキース(4勝0敗 / 2年ぶり24度目) |
第1戦 10月17日
映像外部リンク |
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MLB.comによる動画(英語) |
トニー・ベネットによる試合前のアメリカ合衆国国歌『星条旗』独唱(2分14秒) |
2回裏、リッキー・レディの2点二塁打でヤンキースが先制(1分1秒) |
パドレスのグレッグ・ボーンが3回表に同点の2点本塁打、5回表にソロ本塁打を放つ(1分16秒) |
5回表、ボーンの前にトニー・グウィンの2点本塁打でパドレスが勝ち越し(43秒) |
7回裏、チャック・ノブロックの3点本塁打でヤンキースが同点に追いつく(1分4秒) |
そのあと二死満塁から、ティノ・マルティネスの満塁本塁打でヤンキースが再逆転(1分1秒) |
マリアノ・リベラが8回表途中から登板、4アウトセーブで締めてヤンキースが先勝(43秒) |
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E |
サンディエゴ・パドレス | 0 | 0 | 2 | 0 | 3 | 0 | 0 | 1 | 0 | 6 | 8 | 1 |
ニューヨーク・ヤンキース | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 7 | 0 | X | 9 | 9 | 1 |
- 勝利:デビッド・ウェルズ(1勝)
- セーブ:マリアノ・リベラ(1S)
- 敗戦:ドン・ウォール(1敗)
- 本塁打
SD:グレッグ・ボーン1号2ラン・2号ソロ、トニー・グウィン1号2ラン
NYY:チャック・ノブロック1号3ラン、ティノ・マルティネス1号満塁 - 審判
[球審]リッチ・ガルシア(AL)
[塁審]一塁: マーク・ハーシュベック(NL)、二塁: デイル・スコット(AL)、三塁: デイナ・デムス(NL)
[外審]左翼: ティム・チダ(AL)、右翼: ジェリー・クロフォード(NL) - 試合開始時刻: 東部夏時間(UTC-4)午後8時00分 試合時間: 3時間29分 観客: 5万6712人 気温: 54°F(12.2°C)
詳細: MLB.com Gameday / Baseball-Reference.com
第2戦 10月18日
映像外部リンク |
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MLB.comによる動画(英語) |
ヤンキース先発投手オーランド・ヘルナンデスは7イニングを7奪三振1失点に抑える(1分50秒) |
2回裏、バーニー・ウィリアムスの2点本塁打でヤンキースのリードが6点に拡大(1分14秒) |
5回裏、ホルヘ・ポサダの2点本塁打でヤンキースが9点目を挙げる(55秒) |
9回表、ジェフ・ネルソンがケン・カミニティを見逃し三振に仕留めて試合終了、ヤンキースが連勝(56秒) |
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E |
サンディエゴ・パドレス | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 2 | 0 | 3 | 10 | 1 |
ニューヨーク・ヤンキース | 3 | 3 | 1 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | X | 9 | 16 | 0 |
- 勝利:オーランド・ヘルナンデス(1勝)
- 敗戦:アンディ・アシュビー(1敗)
- 本塁打
NYY:バーニー・ウィリアムス1号2ラン、ホルヘ・ポサダ1号2ラン - 審判
[球審]マーク・ハーシュベック(NL)
[塁審]一塁: デイル・スコット(AL)、二塁: デイナ・デムス(NL)、三塁: ティム・チダ(AL)
[外審]左翼: ジェリー・クロフォード(NL)、右翼: リッチ・ガルシア(AL) - 試合開始時刻: 東部夏時間(UTC-4)午後7時55分 試合時間: 3時間31分 観客: 5万6692人 気温: 69°F(20.6°C)
詳細: MLB.com Gameday / Baseball-Reference.com
第3戦 10月20日
映像外部リンク |
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MLB.comによる動画(英語) |
ヤンキースのスコット・ブロシアスが7回表にソロ本塁打、8回表に逆転の3点本塁打を放つ(2分6秒) |
マリアノ・リベラが8回裏途中から登板、5アウトセーブで締めてヤンキースが優勝に王手をかける(1分24秒) |
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E |
ニューヨーク・ヤンキース | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 3 | 0 | 5 | 9 | 1 |
サンディエゴ・パドレス | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 0 | 1 | 0 | 4 | 7 | 1 |
- 勝利:ラミロ・メンドーサ(1勝)
- セーブ:マリアノ・リベラ(2S)
- 敗戦:トレバー・ホフマン(1敗)
- 本塁打
NYY:スコット・ブロシアス1号ソロ・2号3ラン
- 審判
[球審]デイル・スコット(AL)
[塁審]一塁: デイナ・デムス(NL)、二塁: ティム・チダ(AL)、三塁: ジェリー・クロフォード(NL)
[外審]左翼: マーク・ハーシュベック(NL)、右翼: リッチ・ガルシア(AL) - 試合開始時刻: 太平洋夏時間(UTC-7)午後5時20分 試合時間: 3時間14分 観客: 6万4667人 気温: 72°F(22.2°C)
詳細: MLB.com Gameday / Baseball-Reference.com
第4戦 10月21日
映像外部リンク |
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MLB.comによる動画(英語) |
4回表、ヤンキースのチャック・ノブロックによるファウルを三塁側客席で観戦中のマーク・マグワイアが捕球(32秒) |
4回裏、パドレスのルーベン・リベラが放った中前へ抜けようかという打球を遊撃手デレク・ジーターが捌き、遊ゴロでアウトに(30秒) |
ヤンキース先発投手アンディ・ペティットがパドレス打線を7.1イニング無失点に封じる(2分29秒) |
ヤンキースの抑え投手マリアノ・リベラが8回裏二死満塁の危機を凌ぐと、9回裏も3人で終わらせて試合終了、ヤンキースの優勝が決定(1分5秒) |
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E |
ニューヨーク・ヤンキース | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 2 | 0 | 3 | 9 | 0 |
サンディエゴ・パドレス | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 7 | 0 |
- 勝利:アンディ・ペティット(1勝)
- セーブ:マリアノ・リベラ(3S)
- 敗戦:ケビン・ブラウン(1敗)
- 審判
[球審]デイナ・デムス(NL)
[塁審]一塁: ティム・チダ(AL)、二塁: ジェリー・クロフォード(NL)、三塁: リッチ・ガルシア(AL)
[外審]左翼: デイル・スコット(AL)、右翼: マーク・ハーシュベック(NL) - 試合開始時刻: 太平洋夏時間(UTC-7)午後5時20分 試合時間: 2時間58分 観客: 6万5427人 気温: 71°F(21.7°C)
詳細: MLB.com Gameday / Baseball-Reference.com
脚注
注釈
- ^ カナディアンズのスタンレー・カップ優勝回数は24回である。ただしスタンレー・カップは開始が1893年と、1917年設立のNHLよりも長い歴史を有しており、過去には他リーグの優勝決定戦だった時代があった。カナディアンズの最初の優勝は1916年で、当時のスタンレー・カップはNHAとPCHAの優勝チームどうしの対戦という形式をとっていた。したがって、カナディアンズのNHL優勝回数は23回ということになる。
出典
- ^ "World Series Television Ratings," Baseball Almanac. 2020年2月2日閲覧。
- ^ "Head-to-Head Records," Baseball-Reference.com. 2021年5月9日閲覧。
- ^ Jenna West, "How Many Teams Have Won the World Series After Having the Season's Best Record?," Sports Illustrated, September 30, 2018. 2020年2月2日閲覧。
- ^ George Vecsey, "Sports of The Times; And for the Record Books: One Hundred Twenty-Five," The New York Times, October 22, 1998. 2020年2月2日閲覧。
- ^ 「上原 3年越しリベンジだ 11年登録外、カ軍と "再戦"」 『スポニチ Sponichi Annex』、2013年10月24日。2024年8月20日閲覧。
- ^ Janet Oravetz and KUSA, "9 Facts about the 1998 Super Bowl," 9news.com, January 29, 2016. 2020年2月2日閲覧。
外部リンク
- Baseball Almanac(英語)
- Baseball-Reference.com(英語)
- 1998 World Series - IMDb(英語)
- 動画共有サイト "YouTube" にMLB公式アカウントが投稿した試合映像
- 第4戦:1998 World Series, Game 4: Yankees @ Padres
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ニューヨーク・ヤンキース 1998年のワールドシリーズ ロースター |
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できごと | |
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傘下マイナーチーム | |
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永久欠番 | |
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ワールドシリーズ敗退(2回) | |
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リーグ優勝(2回) | |
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できごと | |
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傘下マイナーチーム | - エルパソ・チワワズ(AAA級)
- サンアントニオ・ミッションズ(AA級)
- フォートウェイン・ティンキャップス(High-A級)
- レイクエルシノア・ストーム(Low-A級)
- アリゾナ・コンプレックスリーグ・パドレス(Rookie級)
- ドミニカン・サマーリーグ・パドレス(Rookie級)
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